バンコク物語Ⅱ~飛び立つ編~
大分時間が経ってしまいましたが根気よく続けます、バンコク物語。
これは、私にとって初めての海外であった。そして一緒に行く母親にとっても最後に海外に行ってから二十年以上経つ。
私たちの最大の心配事は、
「無事に海外に行けるのか?」
出発する日の朝は早かった。成田空港は自宅から遠い。さらに空港での手続きもよく分からないから、始発で行った。
海外旅行初心者が覚えておかなければならないことは、成田空港の最寄り駅は、「成田空港駅」ではないということ。私が使った成田空港第二ターミナルの最寄り駅は、「空港第二ビル」である。
空港第二ビルに到着すると、普通の駅とは雰囲気が違う。
改札が二重になっている。ほえーっと思いながら二回スイカをタッチした。
そして表示に従ってエスカレータを上がっていくと、広い場所に出た。
ここでチェックインをしなければならない。
まず目に入るのが各航空社のチェックインカウンターの番号を教えてくれる電光表示板。すぐ近くに係さんもいるので聞いてしまうのが手っ取り早い。
ここまで当然のようにチェックインすると言っていたが、実は私、チェックインとは何かさえよく分かっていなかった。
いまだよく分からないが、チェックインすると、スーツケースなどの荷物を預かってもらえ、座席番号の書かれた券を渡してもらえる。
これに並ぶ場合もあるから時間には余裕が必要なのである。私が行った時もそれなりに並んでいた。
しかし余裕に余裕をもっていっていたからまだまだ余裕だと思いながらも心配だから搭乗しようとすると、入り口は想像していたよりずっと小さく、めちゃくちゃ並んでいるではないか。
やはり飛行機は電車のようにはいかず、厳しいのだな。
そして行われるのが荷物検査。
みんなさくさくと荷物をかごにのっけてく。
どうやら電子機器はバッグから出してかごにそのまま入れるようだ。
あと液体は持ち込めない。
無事荷物検査をクリアすると、免税店が並ぶところに出る。
しかし不安だからとりあえず搭乗ゲートの方に進む。
私が乗った飛行機は飲食の持ち込みは不可だが、実際は持ち込めるようなので荷物検査が済んだ後でペットボトルとお菓子を購入した。でもお菓子は荷物検査にはひっかからないからあらかじめ買っておけたな。
そして搭乗ゲート近くの椅子に座る。
空港にはFree Wifiがあるから暇つぶしはできる。
飛行機は30分ほど遅れていた、というか基本的にそのぐらい遅れるらしい。まあ格安航空だからそんなもんだろう。
やっと到着し、搭乗する。なんだかCAさんたち、カジュアルである。まあ格安だからな。
席は窓側だった。狭い。ここで約六時間の旅。
ちょこちょこ眠くなりながら、音楽を聴きながら過ごした。機内食を頼む人はほとんどいなかった。
雲の裂け目から見える景色はいつの間にか大きく変わっていた。
木々ばかりで家が全く見当たらない広大な場所。日本にはない広くて長くて茶色い河。永遠と続く細長い畑。そっくりな家が機械的に並ぶ住宅地。
それらがどこかはわからない。
日本ではないことだけが確かだった。
そして飛行機は着陸した。
着いたところはドンムアン空港。空港に降り立つと、異国の匂いがした。